都市の不本意な食生活を送るすべての人に豊かな食生活を届ける
「新鮮・おいしい・適正価格」な野菜を届けることにこだわる地域密着の八百屋「旬八青果店」
近年日本には、農業所得の減少による地方農業の衰退と、美味しい農産物が食べられていない不本意な都市の食生活という2つの問題がある。アグリゲートは、ビジネスを通じて、未来に「おいしい」をつなぐインフラを創造することで2つの問題を解決しようとするベンチャー企業だ。
インフラの創造とは具体的に、生産から消費まで一気通貫したサプライチェーンを構築することだ。アグリゲートは下図のように既存のリソースを活用する部分、自社で構築する部分を組み合わせてサプライチェーンを構築している。今回は卸から販売の部分について説明したい。
アグリゲートは販売を担うために旬八青果店と旬八キッチンを要している。旬八青果店は農産物そのものや農産物から作った惣菜を販売し、旬八キッチンはそれに加え惣菜を作る機能を備えている。惣菜は旬八青果店で売りきれなかった農産物も使って作っているため青果店での廃棄コストが減少し、その分消費者には安く農産物や惣菜を提供することが可能だ(後述)。
旬八青果店は9店舗、旬八キッチンは1店舗を都内に展開中だ(編注:2017年5月現在)。
旬八青果店は接客と提供する商品に特徴がある。旬八青果店では商品をただ販売するのではなく、スタッフが顧客に産地情報や食材の美味しい食べ方を伝えている。これにより顧客は、手軽な食べ方を知ったり味のイメージができるため、他店にはない食の楽しみ方を体験できるのだ。その結果リピーターが増加して売上げUPに繋がっている。
また上記のような接客をされたくない人のために、接客した場合と同じ情報を得れるようにオリジナルのPOPを用意している。必要最低限な情報とスタッフの感想を書くことで商品の情報を伝えており、こちらも好評だ。
さらに旬八青果店には、サイズがばらばらだったり、曲がっていたりして普通のスーパーには売っていないような商品を、顧客にお値打ちな価格で提供している。低価格で旬の野菜が食べられるため顧客の満足度は高い。
惣菜、お弁当を作って販売する旬八キッチンには、2017年3月1日のオープン以来行列が続いている。その理由は、①素材を活かしたお弁当作り ②続けられる価格設定 ③青果を無駄なく価値化していること、の3つだ。
①素材を活かしたお弁当作り
販売されるお弁当は、付け合わせも含めてすべてセンターが仕入れた食材から作られている。添加物や保存料は一切使わず、毎朝手作りで作られているため、美味しくて新鮮な弁当を顧客に提供することができる。
②続けられる価格設定
アグリゲートが仕入れから販売までを行うことで中間マージンを省いている。そのためお弁当は低価格で提供することができ、顧客が毎日でも購入することができる。現在弁当は500円、サラダは150円以上で販売している。
③青果を無駄なく価値化
普通の八百屋なら時間が経過した野菜は値引いてでも売ってしまう。言い換えれば野菜の価値が減少してしまっているのだ。他方、旬八キッチンは旬八青果店から時間が経過してしまいそうな野菜を回収し、早めに惣菜にしている。これなら青果の価値を下げないで消費者に届けることができるのだ。
これらの特徴によって、旬八キッチンは安くておいしい惣菜、弁当を顧客に提供することができる。顧客にとって安くておいしい惣菜、弁当は他店のものと比べて魅力的なため、旬八キッチンには毎日行列ができている。
旬八青果店は、人通りがあれば売り場面積が1坪からでも出店が可能なのでフランチャイズ展開も含めて出店を加速させていきたい。旬八キッチンは、社食や寮食への展開も考えているため、多くの企業と協力していきたい。
これからも、アグリゲートは「おいしい」農産物に触れることのできる人を増やして都市の食生活を豊かにしていく。
株式会社アグリゲート 代表取締役 左今 克憲 氏
福岡県立新宮高校 普通科卒
東京農工大学 農学部 環境資源科学科卒
2007年3月 株式会社インテリジェンス新卒入社
2009年1月 同社退社
2009年2月 アグリゲート創業
2010年1月 株式会社アグリゲート設立
(左今氏HPより引用)