加速度・ジャイロ・気圧センサーを搭載したウェアラブルセンサーとビーコンで作業員の位置を推定
収集した情報を解析し、工場や倉庫内での作業や動線を見直すシステム
ライフラボラトリ株式会社は工場向けにIoTを用いて人・モノの動きを可視化し生産性を改善するシステム「Life Analyzer」を提供している。
近年、工場における解決すべき課題として「動線の最適化」「モノの稼働率向上」という2点が挙げられる。1つ目の「動線の最適化」は、人・モノの動きを最適化することで、2つ目の「モノの稼働率向上」はフォーク・AGV(無人搬送車)等の個数を必要最低限にし、稼働率を上げることだ。Life Analyzerはウェアラブルセンサー、ビーコン、ゲートウェイの3つを組み合わせてこれらの課題を解決する。
Life Analyzerは次のように稼働する。
① 従業員が歩くやかがむといった動きをすると、ポケットにいれておいたウェアラブルセンサーが、その動きをデータ化し記録する
② 2〜20m置きに設置されたビーコンを通る際に、ウェアラブルセンサーが位置情報を測位する。
③ 工場内に設置されたゲートウェイを従業員が通ると、ウェアラブルセンサーから動きのデータと位置情報を吸い上げてサーバに格納する。
つまり、従業員の動きと位置情報を可視化して、従業員がいつどこで何をしているかを把握し、無駄の改善に繋げるのだ。
さらにLife Analyzerを使えば、人の動きだけではなく、モノの動きも分析できる。フォークリフトなどの移動機にビーコン(2-20m置きに設置されたビーコンとは別のもの)を取り付けて、運転手のウェアラブルセンサーと連携させるのだ。
移動機に取り付いているビーコンとこのウェアラブルセンサーとが連動しているため、Life Analyzerは移動機を用いていない従業員と運転手の動きを区別でき、結果的にモノ(移動機)だけの動きと位置情報を識別できるという仕組みになっている。
これにより工場は、移動機の稼働率や稼働状況を把握することが可能となり、ムダを省くことにより結果としてコスト削減に繋がるのだ。
人の動きを動線として可視化する技術は昔からあるが、Life Analyzerを改めて提案する理由がある。
まず、動線分析の誤差を抑えることができるのだ。今まで、普及していたBluetoothを用いた一般的な三辺測量では、2~3mの誤差が発生する。
しかし、Life AnalyzerはBluetoothに加えて、歩数情報を元にしたPDR(Pedestrian Dead Reckoning)を用いた独自アルゴリズムにより、測位誤差を1mに抑えることができる。これにより下図のように正確な動線分析が可能になるのだ。
さらに、Life Analyzerは従来の導線分析に比べて、導入コストも抑えられる。動線分析は今までは1000万円以上のコストが必要だったが、LIfe Analyzerなら200万円から導入できる。
ウェアラブルセンサーは充電式で、ビーコンは乾電池で動作し電源とネットワークが不要だ。そのため導入の際、設置工事をする必要がなく導入コストが削減できる。具体的な目安として、幅300mの工場なら500万円でLife Analyzerを導入可能だ。
動線・移動距離・ヒートマップが下図のようにグラフで表されるため、工場の管理者が分析の結果を直感的に理解できるのも魅力だ。現場の状況改善に対して素早くアクションがとれるため好評である。
ウェアラブルセンサーの代わりに、スマホを用いることも可能だ。これによりリアルタイムで従業員のスマホに指示を送ることができるようになる。スマホとの連携によって、現場で発生した問題を瞬時に識別し、対応できるようになるのだ。
Life Analyzerはすでに、大手の製造業7社に対し1350デバイスが販売されており、無料でのトライアルも月数回程度行なっている(編注:2017年6月現在)。工場の生産性改善に興味のある企業は、是非声をかけてほしい。
ライフラボラトリ株式会社 代表取締役 鈴木 和浩 氏
富士通株式会社において、BAN(Body Area Network)の研究に携わる
2015/08 ライフラボラトリ株式会社設立
(鈴木氏掲載HPより引用)