収穫まで手入れは一切不要
土も液肥も使わない世界一低コストな水耕栽培「EZ水耕」
株式会社セプトアグリは、米を作る人がいなくなった水田で、簡単に野菜の栽培ができる水耕栽培技術「EZ水耕」の開発・導入を行っている。
私(セプトアグリの大社(おおこそ)代表)は、高校3年間をニューヨークの学校で過ごし、その際にアメリカの農業現場を見てきた。アメリカの農業は広大な土地での大規模生産が通常であり、徹底的な機械化と効率化により高い労働生産性が実現されていた。
他方、日本は土地が狭いために大規模な経営が難しく、かつ機械化も遅れており効率的に運営されているわけでもないというのが現状だ。近年は農業従事者の高齢化や人手不足が顕著になっているという課題もある。
これらの課題を解決するためにセプトアグリが開発したのがEZ水耕だ。これは日本が豊富に保持している「水田」と「綺麗な水」を活用する新しい水耕栽培技術である。
EZ水耕の仕組みは非常にシンプルだ。肥料を仕込んだ苗を発泡スチロールのパネルにセットし、そのパネルを水がはられた水田に浮かべておくだけだ。肥料は苗植えから収穫するまでに時間をかけて溶け出す仕組みになっているため、途中の手入れは不要である。この肥料が自然に溶け出す仕組みは特許も出願している。
収穫までの手入れがいらないEZ水耕では、栽培に経験や勘は不要で、誰にでもすぐに就農し休耕田でレタスなどの葉物野菜を生産することができる。さらに重機も使わないため女性や高齢者、障がい者の方でも作業が可能なのだ。出来上がった野菜の品質は、一般的な露地栽培で生産されたものと全く変わらず、葉が柔らかくなるといったこともない。
EZ水耕を使えば、農業を始める際の設備投資も非常に少なくなる。発泡スチロールのパネルおよびセプトアグリが提供する苗、それを入れる鉢だけで栽培を開始できるからだ。
導入した際の試算としては、一反当たり330万円の初期投資で、一反の水田から年間およそ600万円の売り上げと、250万円ほどの利益を得ることができると見込んでいる。
今までほとんどEZ水耕の営業をしていないが、この春から口コミだけで国内6か所、台湾1か所での導入が始まっている。また地方自治体からは、休耕田や耕作放棄地の拡大を食い止める手段の1つになるのではないかという期待のもと、既に農家をいくつか紹介して頂いているという状況だ。
現在はリーフレタスを中心に展開しているが、葉物野菜であれば基本的に何でも栽培可能であるため、今後は扱える品種の幅をより広げていく予定だ。将来的には、農家がスーパーなどにいい値段で卸せるように、セプトアグリが販路の整備まで支援していく。
今後は肥料・農薬メーカーや地方自治体などとの事業提携を通して、研究開発と事業の拡大を目指す。
株式会社セプトアグリ 代表取締役社長 大社 一樹 氏
1991年8月 生まれ 東京都出身
2010年8月 慶應義塾ニューヨーク学院卒業
2011年4月 慶應義塾大学商学部入学
2011年4月 株式会社時 代表取締役(現任)
2012年3月 ニューヨーク予備校開校
2014年5月 当社共同創業
2014年7月 当社発起人 代表取締役
2015年3月 慶應義塾大学商学部卒業
2017年4月 千葉工業大学 社会システム科学研究科 マネジメント工学専攻(博士後期課程) 入学
(セプトアグリHPより引用)