大切な人の命を守る小型探索機器「ヒトココ」
オーセンティックジャパンは、山岳地帯や建物の中、地下でもピンポイントに位置を特定できる人命探索機器「ヒトココ」を中心として事業を展開している。高齢者やこどもの見守りサポート、山岳遭難や災害救助の現場で生命を救うための機器としての活躍が期待されている。
AUTHENTIC JAPAN株式会社は「人名救助の常識を変える」がモットーの博多のベンチャー企業だ。元は大手家電メーカーに勤めていたメンバーが中心で、開発するのはヒトココ・ココヘリという、山岳遭難救助のためのデバイスだ。
日本には自然が多く、山登りなどのレジャーも多い。しかしその分、山岳遭難や自然災害のリスクも高くなってしまう。山岳遭難が起こった際には、要救助者を「探す」のは非常に労力や時間がかかってしまう。
そんなときに使われるのが「ヒトココ」だ。要救助者がヒトココの子機を持ってさえいれば、子機から出る電波を親会社がキャッチし、子機(遭難者)までの距離や方向がわかるという仕組みだ。ヒトココは1回充電すれば3ヶ月間充電がもち、数kmの距離でも位置を探しだすことができる。重さは約20gと非常に軽い。また、すべての子機にはIDが割り振られており、IDさえわかればどの親機からでも探すことが可能である。ヒトココがあれば短時間で要救助者を探索することができるのだ。
ヒトココは既に警察・東京消防庁・航空自衛隊などに導入実績がある。ヒトココは救助側から見ると、二次災害を防止する機能があるのだ。救助者がヒトココを持って救助にあたり、もしも二次災害に巻き込まれた場合にはヒトココを使ってその方を捜索することが可能となるからだ。
また、ヒトココと同時にココヘリというサービスを展開している。これは、ヒトココと連携している会員制捜索ヘリサービスだ。オンライン登山届けに「ヒトココID」を入力してもらい、もし遭難などがあった場合にはそのIDを頼りに警察や消防が遭難者を捜索するというシステムだ。現在は全国5拠点、7機のヘリが配備されている。また、ココヘリの年会費は年間で3650円、つまり1日たったの10円で会員になり、いざというときにヘリに来てもらいことが可能となるのだ。
人命救助というと響きはかっこいい。しかし今まではそれがビジネスになりにくく、持続可能性がなかったように思う。そこで、ココヘリは年会費というビジネスモデルを選択した。登山時にはヒトココを無料で貸し出す代わりに、年会費を支払ってもらう。ただし、広く多くの方に持ってもらうことが重要なので金額は安価に設定した。
もちろん、ヒトココは山岳遭難のために使われるデバイスではない。誰がどこにいるかが簡単にわかるというシステムは、例えば認知症で徘徊してしまう高齢者や、子どもの見守りにも使用可能である。
また、当然グローバル展開も考えている。アメリカではなんと年間100万人が行方不明となっているし、スイスではアウトドアが盛んで何か合った際にはヘリが捜索に向かうのだが、捜索には非常に苦労していると聞いている。彼らと連携することも視野にいれ、ヒトココをグローバルに展開していきたい。