「メディカル」「シンプル」「セキュリティ」の3つに重点を置いて開発された
医療者のためのチャットツール「MediLine®」
株式会社シェアメディカルは、医療者のためのLINEである「メディライン」というサービスを展開している。
「医療用LINE」と聞くと、これといって特異性がなくシンプルなプロダクトに聞こえるが、メディラインのサービスの価値はそこにある。ITリテラシーが必ずしも高くない医療現場の方に使ってもらううえで、「誰でも使える」「簡単ですぐに理解できる」ということは非常に重要な要素なのだ。そのため、機能を最小限に抑え、誰でも使えるようなデザインが必要だ。
また「シンプルさ」に加えて、メディラインはセキュリティとメディカルに特化している点も利点だ。まず、メディラインのチャットは、第三者が無理矢理読もうとすると暗号化され、解読に膨大な時間がかかるようになっている。また、外部から安全性が保証されていることを重視する医療者を安心させるため、専用サーバーと端末を用意し万全のシステムを整えている。
更に、メディラインは組織管理者が利用者を招聘しなければ利用できないため、部外者とつながることはない。安全性を重視する医療者にとって、メディカルに完全に特化しているツールであることも不可欠なのだ。
メディラインは、新たにAIを使って医療現場の文書作成業務の軽減を図ろうともしている。 メディラインは多職種の医療者が利用でき、様式にとらわれずに患者に関する情報を蓄積できる。しかし、膨大なトーク履歴から必要な情報を探し出すのは時間がかかる。そこで、メディラインの新機能が活用される。
まず医師・薬剤師・看護師など、ある患者の関係者に関するグループを作り、そこにAIのボットもアサインする。すると、AIは医療者が患者について交わす様々な情報を収集し、機械学習・分類を行い、職種ごとに必要な要約を生成してくれるのだ。例えば、特定の症状が出ていた期間を知りたいときは、医師はグループに「◯◯の症状が出ていた期間はいつまでか」と投稿すれば、ボットが回答を返してくれる。
また、新機能の導入により実現されることは、探索時間の削減だけにとどまらず、従来は属人的だった情報の蓄積も実現する。今までは、患者一人ひとりの趣味や好きな食べ物などは、書く内容や形式が予め決められている電子カルテには記録できないため、担当者が変わっても引き継がれることはなかった。しかし、メディラインのAIボットを使用すれば、例えば本来の人柄や嗜好を把握できなくなってしまった認知症患者のことも、理解することができるようになる。
このように、今までは不可能だった情報の共有を実現することにより、良好なコミュニケーションへと繋がるだろうと考えている。