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協業事例

 

\協業事例インタビュー第一弾/

三菱地所株式会社×株式会社BitStar

 

 

きっかけとなったMorning Pitch

出張Morning Pitch

有料会員メニューのオプションサービス(各社にカスタマイズした Morning Pitchを特別実施)

 

協業事例カテゴリ

事業連携

 

はじめに

Morning Pitchは登壇ベンチャーと大企業との協業促進に力を入れており、M&Aや資金調達、事業提携といった領域で成果を残しています。「協業事例インタビュー」では、ベンチャーと大企業の担当者に登場していただき、どういった思いや交渉を踏まえ協業に至ったのかについて紹介します。

第一回目は三菱地所株式会社と株式会社BitStar(ビットスター)です。三菱地所はMorning Pitchのスペシャルパートナーで、Morning Pitchの開催会場であるGlobal Business Hub Tokyoの提供をはじめ、運営にご協力をいただいております。BitStarは2020年10月15日のエンタメ特集に登壇した、VTuber(バーチャルユーチューバー)やインフルエンサーマーケティング事業の第一人者です。

 

【三菱地所株式会社】

 

三菱地所株式会社 エリアマネジメント企画部 オープンイノベーション推進室 主事

山崎 浩平

コンサルティング会社での新規事業創出支援、AgriTechスタートアップでの事業開発などを経て、2021年より三菱地所にてTMIP(Tokyo Marunouchi Innovation Platform)の運営を担当。特にスタートアップと連携した丸の内エリアにおける先端技術の実証実験を中心に企画を推進。

【株式会社BitStar】

株式会社BitStar マーケティングソリューション本部 共同創業者 事業開発責任者

原田 直

慶應義塾大学大学院 理工学研究科卒。コンサルティング企業にて、主に製造業や情報通信業におけるクライアントの新規事業創出・推進のプロジェクトや、事業戦略、アライアンス支援などのコンサルティング業務に従事。2016年より株式会社BitStarにジョインし、インフルエンサー・マーケティング事業の立ち上げを推進。現在、共同創業者・事業開発責任者として、YouTube、TikTokなどを始めとするインフルエンサー領域の事業開発を推進。

【インタビュアー】


デロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社 イノベーションソリューション事業部

藤野 菜々歩

国際教養大学 国際教養学部卒。大学入学前、在学中よりオンライン英会話大手企業や資産運用会社にてインターンを経験。その後スタートアップ業界とその支援に興味を持ち2022年デロイトトーマツベンチャーサポート入社。

 

【初回協業】ふるさと納税PR企画

ふるさと納税PR企画 開催時期:2021年12月

「YouTube×リアル」で新潟県燕市・加茂市の「ふるさと納税」を三菱地所とBitStarでPR

 

YouTube活用とリアルイベントを掛け合わせた「ふるさと納税」のPR企画。BitStarのインフルエンサーの拡散力を活用し、新潟県燕市と加茂市のふるさと納税をご紹介。インフルエンサーによるPR動画だけでなく、三菱地所所有の「Have a Nice TOKYO!」(東京・丸の内)にて、ふるさと納税の返礼品や地域の特産品を紹介する入場無料のイベントを同時に実施。

▼詳しくはこちら▼

BitStarが「YouTube×リアル」で新潟県燕市・加茂市の「ふるさと納税」を三菱地所とPR。データ分析により親和性の高いYouTuberと動画発信。12/21~丸の内で展示イベント開催|株式会社BitStarのプレスリリース (prtimes.jp)

 

両社の出会いである出張Morning Pitchから1回目の協業イベント【「YouTube×リアル」で新潟県燕市・加茂市の「ふるさと納税」を三菱地所とBitStarでPR】(以下ふるさと納税企画)の実施までの経緯やエピソードを教えていただけますか?

 

山崎:デロイト トーマツ ベンチャーサポートが運営する「出張Morning Pitch」(有料会員メニューのオプションサービスとして、ベンチャーが大企業に協業提案ピッチを行うカスタマイズ版のMorning Pitch)が初めの出会いでした。弊社の協業テーマをいくつか提示させていただいた中で、街のメディア化というテーマがあり、そちらに合致しそうな候補ベンチャーとしてBitStarをマッチングいただきました。その後、ミーティングを4回ほど重ね、出張Morning Pitch当日で弊社との協業案をピッチしてもらいました。ネットでの映像の生配信を通じて商品を販売するライブコマースとデジタルサイネージ広告という2つの事業が軸でしたが、「全国の情報を丸の内に届ける」というライブコマースの中で取り上げられていたキーワードが、三菱地所が取り組む丸の内からの街づくりとマッチしており、強い関心を持ったという経緯です。その後、自治体の方も巻き込みながら、三菱地所が提供できるリアルなイベントとBitStarによるオンラインの施策を掛け合わせていこうという流れでふるさと納税企画が始まります。特に自治体との連携においてはBitStarからつないでいただいた面もあり、具体的に連携する自治体が決まってからはメンバーがさらにモチベーション高く進めていけたという背景がございます。

 

原田:自治体との連携は以前からコネクションのあったエリアを中心に声をかけました。新潟県とはYouTube関連で仕事をしたことがあり、今回は燕市、加茂市とイベントを進めることになりました。

 

山崎:三菱地所としてもさまざまな自治体、特にふるさと納税のランキングで上位にあるような市区町村との連携ができることはとても魅力的でした。

 

 

 

藤野:三菱地所とBitStarの出会いが、さらに別の出会いとコネクションの構築につながったのですね。

 

この出張Morning Pitchでの出会いが7月。ふるさと納税企画の開催が12月でしたので約5か月間で実現したことになります。具体的なイベント開催までの流れを教えてください。

 

山崎:出張Morning Pitchへの登壇後、ディスカッションをしていく中で「ふるさと納税」関連の企画が三菱地所として最も親和性が期待できるという結論が出て、進めていくこととなりました。初めからすぐに具体化して行くという姿勢が社内で共有できていたので、さまざまな調整や決裁などがスムーズに行えたのだと思います。同時進行でBitStar側では自治体連携、三菱地所側では自社保有の施設「Have a Nice Tokyo!」の管理チームとの調整も行い、すでに10月頃にはおおよそのスケジュールの確定と、社内手続きを順調に進めることができました。ふるさと納税は12月が最も盛り上がる時期なので、どうしても12月中に実施したかったという思いもあります。

 

会場となった、Have a Nice TOKYO!

 

藤野:とは言ってもかなりタイトなスケジュールでしたね。

 

 

山崎:原田さんには三菱地所内で最終決裁に至るまで、3~4か月の伴走をしていただいたという形です。

 

原田:私たちも「ふるさと納税」はキーワードとして今後取り組みたい領域と考えていましたが、具体的なスキームが固まっていないという状態でした。そんな時、山崎さんと共に、自治体とも連携して進められそうということで、ぴったりマッチしたという流れでした。お互いが「ふるさと納税」に関する興味と方向性において一致しており、後はプランニングに集中するだけだったことも、スピーディーに進められた要因かもしれません。

 

逆にこのふるさと納税企画を制作・実施する中で、ご苦労された点や思いがけないトラブル等はございましたか。

 

山崎:インフルエンサー・マーケティングという切り口で、今回はYouTuberの「足の裏」さんや「はらぺこツインズ」さんに出演いただきました。ただ、インフルエンサーの力を借りて進めるイメージを社内で上手く伝えることが少し難しかったと思います。幸いにも原田さんから、インフルエンサー・マーケティングの魅力を丁寧に説明いただき、前に進めることができました。

 

 

藤野:データ分析によって、最適なインフルエンサーを選ばれたと聞いております。

 

 

山崎:はい。三菱地所と以前から共同研究していたAI専門家の東京大学 山崎俊彦教授と協力し、「丸の内」と「ふるさと納税」というキーワードと相性の良いBitStar所属のYouTuberの中から選定しました。

 

藤野:エビデンスに基づいたインフルエンサーの選定で、社内での理解がスムーズに進んだのですね。YouTuberのふるさと納税ご紹介動画についても、共同で取り組みましたか。

 

 

原田:三菱地所運営の「丸の内ドットコムチャンネル」(丸の内・大手町・有楽町エリアの街の情報サイト「丸の内ドットコム」の公式YouTubeチャンネル)で、それぞれの自治体のふるさと納税返礼品の魅力を伝えています。三菱地所が所有する建物を撮影場所として利用するなど、多角的に連携しました。地域の情報発信という側面だけでなく、丸の内の情報発信という観点も含めて、コンテンツとしてお届けしています。

 

インフルエンサーが各都市のふるさと納税返礼品を紹介

 

 

藤野:三菱地所とBitStarの間で様々な側面での協力とコネクションの活用が行われたのですね。

 

原田:なんとなく両社間では「デジタル周辺のことはBitStar」、「施設関連は三菱地所」という役割の認識はありましたが、それ以外の必要なことに関しては積極的に協力しながら進められました。特に各自治体に合った体験イベントの内容などは、ディスカッションをしながら具体的に進めていきました。

 

 

藤野:リアルイベントとして行なわれた「Have a Nice TOKYO!」でのイベントはいかがでしたか?

 

山崎:工芸品の制作体験イベントや日本酒の試飲会を開催し、多くの方に楽しんでいただきました。集客面ではYouTubeの動画内や、三菱地所が保有する施設にあるデジタルサイネージを通じ、告知を行いました。この広告用の素材もBitStarが制作したものです。

 

 

藤野:ベンチャーサイドとして、苦労した点などございましたか?

 

原田:インフルエンサーという、三菱地所でまだなじみがないものを検討いただけるのか。我々もかなり議論しました。苦労とまではいきませんが、デジタルサイネージの活用なども含めて新しい取り組みだったので、伝え方の部分に注意を払った次第です。データを活用したYouTuberの選定などは、明確な根拠を提示する上での新しい視点だったので、BitStarとしても良い気づきになったと思います。

 

 

インタビュアーコメント
初回の協業では出張Morning Pitchでの出会いから約5か月でイベント開催することができました。その過程ではお互いが価値を見出せる点を模索しながら、まさに協力して一つの事業を生み出していった様子を知ることが出来ました。両者の協業はこのふるさと納税企画だけにとどまらず、1年以内にまた別の企画にて協業を成功させています。2つ目の協業はどのようにして実行されたのでしょうか。両社を含む5者が参加したメタバース企画について、お話を伺ってみます。

 

 

【2度目の協業】メタバース観光PR企画

メタバース観光PR企画開催時期:2022年8月

「メタバース×観光」インフルエンサーと連携しメタバース空間を通じて大阪観光の魅力を発信!~8月6日にインフルエンサーのトークショー&バーチャルライブイベントを開催~

 

クラスター株式会社のメタバースプラットフォーム上で、三菱地所が運営する「バーチャル丸の内」における「仲通りエリア」を公開し、バーチャル空間上で大阪観光の魅力を伝えるプロモーションイベントを実施しました。企画に参加したのは一般社団法人関西イノベーションセンター、公益財団法人大阪観光局、クラスター、BitStarおよびTMIP(Tokyo Marunouchi Innovation Platform)。BitStarはバーチャル空間上での人気インフルエンサートークショー「バーチャル仲通りオープニング記念 大阪観光PRイベント」を担当しました。

▼詳しくはこちら▼

「メタバース×観光」インフルエンサーと連携しメタバース空間を通じて大阪観光の魅力を発信!~8月6日にインフルエンサーのトークショー&バーチャルライブイベントを開催~ | TMIP(Tokyo Marunouchi Innovation Platform)

 

 

別のイベントでも協業したと伺っています。

 

山崎:ふるさと納税企画が終了した後も、BitStarとは継続してやりとりをしていました。実は1回目の協業の時点で三菱地所としてはスタートアップと連携した事業を作っていきたいと思っており、何か他の取り組みができないかと画策しておりました。以前からメタバース関連で協業をしていたクラスターとの「バーチャル丸の内」企画の中で、自治体との連携案が挙がっており、BitStarによるインフルエンサーの拡散力が強みとして活かせると前回の協業にて理解していたので声をかけたというのがきっかけです。インフルエンサーご自身のチャンネルに動画をアップし、集客をするという流れでインフルエンサーの力をフルに活用するというのも一度実施してみたかったという側面もありました。

 

藤野:やはり協業の実績があったというのは新たな機会を作るきっかけだったのでしょうか?

 

原田:メタバースを核にした2回目の協業は、我々としても興味を持っている領域でしたので、非常にマッチしている企画だったと思います。当社のソリューションが、足りないピースを埋めるという意味でピッタリであったのと、前回の協業の際にインフルエンサー・マーケティングについて、三菱地所の中ですでに理解をいただけていたのは大きいですね。その経験を踏まえ、大阪観光局にも理解してもらえるようにYouTuber選定や動画構成などを行いました。クラスターとの連携も三菱地所に入っていただきながら、協力して議論を深めることができました。

 

藤野:事前に両社の取り組みに対する理解や信頼関係が新たな協業を生み出したということですね。

 

インタビュアーコメント
2度目の協業は、足りないピースは他社との連携で埋めて進めていくという、協業の本来あるべき姿の表れであり、お互いのニーズが合致し信頼関係があってこその事例でした。1つの事業連携がまた新しい連携につながる可能性を示しているのではないでしょうか。

 

最後にこれから企業とのアライアンス、パートナーシップ、ファイナンスでの連携を目指す読者の皆様へ、メッセージをお願いします。

 

山崎:三菱地所はスタートアップ連携に積極的な会社なので、リスクよりは可能性を信じてまずはトライしてみようという風土があります。スタートアップの方から見れば歩みが遅いところがあるかもしれませんが、現場レベルではノウハウを持って行なっているので、できるだけスピーディーに対応や連携ができるよう心がけています。Morning Pitchに2020年からスペシャルパートナーとして参画させていただいているという点も含めて、スタートアップには可能性を感じています。これからもどんどん皆様と協業をしていきたいと思っています!

 

原田:「地方創生」や「メタバース」などの世間的に注目されている領域にアプローチすることは重要と考えています。協業とはまさに一つのゴールを作り、お互いやりたいけどなかなかできなかったことを実現するということだと思います。その目的を確認しながら細かな検証内容等を考えていくと、スタートアップと大企業との協業は実現可能だと感じています。大企業としてはさまざまな事業にスタートアップのソリューションをはめ込むことができるので、双方のスタンスがマッチさえすれば、多くの協業が生まれるのではと感じています。

 

山崎:三菱地所は協業相手をスタートアップだから選ぶわけではなく、プロフェッショナルとしてお付き合いしていこうという姿勢があります。パートナーのプロフェッショナル性をしっかりと評価して進めていく文化が、企業の大小を超えた連携につながっていくのだろうと思います。

 

 

原田:スタートアップ自身も自社のプロフェッショナル性を磨いていくというのが重要ですね。

 

 

藤野:山崎様、原田様、貴重なお話をありがとうございました!

 

 

インタビュアーコメント
三菱地所とBitStarの協業は出張Morning Pitchでの出会いから始まり、ふるさと納税とメタバース観光のPR企画として具現化しました。事業規模の違う大企業とスタートアップとの連携は、きちんと双方が納得のいくところまで落とし込むことが重要です。両社は互いが持っている価値を融合させながら、パズルのピースを上手に埋めることでイベントの成功まで導きました。「スタートアップだから」がありきではなく、お互いのプロフェッショナル性を尊重して進めていくことが協業において重要なポイントかもしれません。

 

Morning Pitchでは毎週木曜朝7時からピッチイベントを開催し、オーディエンスとスタートアップとのネットワーキングから多くの協業が生まれています。皆様のご参加をお待ちしております!

 

協業報告フォーム

Morning Pitch事務局では、これまでにMorning Pitchご参加後の登壇ベンチャー様とオーディエンスの皆様との協業の事例を調査しております。

Morning Pitchがきっかけの事業提携、資金調達、資本業務提携、実証実験等がございましたら、協業報告フォームにてぜひご共有ください。

※協業された両社のご希望があれば、Morning PitchのHPにて協業事例としてご紹介させていただきますので、貴社の取り組みPRとしても活用いただけます。
※ご回答内容は事前の許可なしに公開されることはございません。

▼協業報告フォームはこちら▼
https://forms.office.com/Pages/ResponsePage.aspx?id=8UXaNizdH02vE1q-RrmZIS5vr_J599BCkTD5lDwBhJ1UMVhXS09HRzVJODNQSVpGU00xSTBCOE5GUS4u