モーニングピッチ

INSIGHTS

2017.06.15

 

Morning Pitchはベンチャー企業と大企業の事業提携を創造することを目的として運営しており、おかげ様で数多くの提携事例がMorning Pitchから生まれています。

Morning Pitchでは不定期にMorning Pitch Schoolというイベントを開催。これは事業提携を生んだベンチャー企業や大企業の方をお招きし、その裏側をお話いただくというイベントとなっております。今回はタマホーム株式会社の飯田様をお迎えして、事業提携の裏側をお話いただきました。本稿ではそのレポートをお届けします。モデレータはトーマツベンチャーサポート株式会社 Morning Pitch総合プロデューサーの納富 隼平です。

タマホーム株式会社
経営統括本部 新規事業担当

飯田 守

1968年生まれ。中央大学文学部哲学科卒。国際証券入社、その後IPOで知った、(株)ナック入社全国の中小工務店向け建築コンサルティングに従事。更に、取引先であるタマホーム(株)に入社11年目。出展業務を中心に7年、新規事業関連4年。現在は新規関連を専任。
主な、実績として大東建託、タカラトミ、軒先との業務提携。

 

 

トーマツベンチャーサポート株式会社
Morning Pitch総合プロデューサー
納富 隼平

1987年生まれ。2009年明治大学経営学部卒、2011年早稲田大学大学院会計研究科修了。在学中公認会計士試験合格。大手監査法人で大手電機メーカーを中心に会計監査に携わった後、トーマツベンチャーサポート株式会社に参画し、ベンチャー支援に従事。
・毎週開催早朝ピッチイベント”責任者。
・BtoCベンチャー応援プラットフォーム”sprout”
・ベンチャーでの働き方に興味がある人のマッチングプラットフォーム”faces”
等各種ベンチャーイベントの企画・運営に携わる。「ベンチャーとの接点を作る」ベンチャーを世に広める活動がライフワーク。得意分野はFashionTechをはじめとするライフスタイル系BtoCサービス。
2017年よりASCII STARTUPでBtoCベンチャーのコラムを連載中。
2016年NHK「日本のジレンマ」出演。

 

 

ベンチャーとの協業でお客様に継続的な価値を提供していく

 

納富:飯田さん、本日はよろしくお願い致します。最初に自己紹介をお願いします。

飯田:飯田です、よろしくお願い致します。タマホームの経営統括本部で新規事業の担当をしています。担当といってもほぼ1人での活動のため社内フリーランスみたいな状態です笑。

具体的には、ベンチャー企業を含めて他社との協業による新規事業の創出をしています。今までに大企業だとタカラトミ様、ベンチャーだと軒先様との提携を担当してきました。後ほど紹介しますが、ベンチャー企業による役員向けピッチなども手がけています。

納富:大企業とも提携されているのですね。どうして社内開発や大企業との提携ではなく、ベンチャー企業との協業もスコープに入っているのですか?

飯田:ご存知の通り、タマホームは住宅メーカーです。住宅メーカーは当然住宅を販売するわけですが、住宅というのは長年住んでるうちに、修理が必要になったりリフォームしたり、建て替えをします。そのときにもう1回タマホームを選んでもうらことが非常に重要なわけです。そのためには、家を売って終わりではなく、継続的にお客様と接点をもち、価値を提供し続けていかなければなりません。かといって競合他社と同じようなことをやっていては差別化にならない。

そこで注目したのがベンチャー企業です。彼らは最新のテクノロジーを使ったり、時代の流れを捉えて常に新しいことに取り組んでいます。他方で、彼らに話を聞くと、これまたタマホームと一緒にできることがあると言ってくれます。それならと私が窓口となって、今ではベンチャー企業との協業による新規事業の創出に力を入れて取り組んでいます。

 

駐車場の収益化、子供服のリユース、販売での動画活用…ベンチャーとの協業事例

 

納富:いくつか実際の事例を教えていただけますか?

飯田:一番最初に取り組んだのは、軒先パーキングです。軒先パーキングは、空いている場所を駐車場として貸出しできるようにするサービスです。タマホームで家を買っていただいた方の中にも、駐車場はありますけど使っていない、という方々が少なからずいたのでそこの収益化の一助になればと思ってはじめました。

他にはキャリーオンさんとの事例があります。キャリーオンは子供服のリユースを扱っているベンチャー企業です。家を買っていただいた方々の中には当然、お子さんがいらっしゃる家庭も多くいます。その方々から着れなくなってしまった子供服をタマホーム経由でキャリーオンに販売するお手伝いをしています。キャリーオンさんの事業を聞いたときに、これはいける!と思って3分で一緒に何かやろう、と決断しました。

上記2つはお客様のためにベンチャー企業と協業した事例ですが、ベンチャー企業のサービスをタマホームに導入して、営業販促に使っているという事例もあります。例えばフレイ・スリーさんが提供する1Roll for business。これはスマートフォンさえあれば、誰でも簡単にプロフェッショナルな動画が作成できるというサービスです。

タマホームでは、最近日本各地で建売住宅も販売していますが、その際に画像やテキストだけでは家の良さが伝わらないので動画を作成したい、というニーズは昔からありました。しかし、ひとつひとつの家に広告代理店を通して動画を制作するというのは現実的でない。そこで1Roll for businessを使わせていただきました。結果は大成功。使ってみたら、戸建ての販売だけでなく、HPや不動産サイトにも掲載して大丈夫か、などの問い合わせが非常に多く、手応えを感じた取り組みでした。

 

ベンチャー15社が登場する役員向けイベントを開催

 

納富:ありがとうございます。飯田さんのお話を伺っていると、非常に多くのベンチャー企業と色々なことを取り組んでいる印象があるのですが、そもそもどうやってベンチャー企業を社内の方々に知ってもらっているのですか?

飯田:私も役員や関係者に説明はしますが、私経由だとどうしても細かい部分や、何よりベンチャーが持っている熱量は伝わらないんですよね。そこで年に複数回、役員の日程を2日間おさえて、社内ピッチ大会をしているんです。一回に14-15社くらいが登壇します。

納富:2日間で15社ですか?!

飯田:はい。役員も楽しんで参加してくれています。そもそも、タマホームの経営陣はものすごく経営意識が高いんです。なので、自分の担当領域のプラスになりそうな話は積極的に話を聞いてくれます。

とは言っても、いきなり事業提携という話になってしまうとみんな大変なので、一旦トライアルでベンチャーのサービスを試させてもらうところからはじめています。そうすると役員から「自分の担当範囲でやってみてよ」と言っていただいて、具体的な取り組みを開始します。

 

現場を巻き込むためのコミュニケーションとは

 

納富:現場の方の反応はどうですか?

飯田:役員からトライアルのOKが出たら、事業部や担当部署などの現場と必ず意見交換しています。実は以前、役員OKが出たからすぐに現場で使ってもらったことがあるのですが、「また本社から面倒なことが…」となってしまい、結局うまくいかないといったことがあったんです。

なので、今では必ず現場とコミュニケーションをとるようにしています。彼らが何に困っているのか、ニーズはなんなのかといったことを把握して、現場で積極的に使ってもらえるように工夫しています。タマホーム特有なのかはわかりませんが、現場が稼いでるから現場が強いんですね。稼いでる人がのってこないとうまくいかないんです。

納富:会社によっては経営企画や新規事業担当との連携がうまくいっていないということをよく聞きます。今のお話ですと、普段から仲良くしているような印象を受けたのですが、何か工夫していることはありますか?

飯田:私はゴールデンウイークやお盆など、忙しかったり人が少ないときに実際に現場を手伝っています。いやらしく言うと恩を売っているわけですね。そうするといざこちらが新しいアイディアを持っていったときに、も「飯田なら話を聞くか」となってもらいやすいです。

そして最も重要なのは「自分のためにやっていないんだな」と思ってもらうことです。

 

自分のためではなく、タマホーム、ひいてはお客様のためだから巻き込める

 

納富:例えば自分の昇進や評価ということでしょうか?

飯田:そうです。現場の方々にお願いするときにもし私の昇進が見え隠れしたら「なんで飯田のために私達が行動しなくてはならないのか」となってしまいますよね。

先程も申し上げましたが、私は社内フリーランスなんです。ベンチャーとの協業がうまくいったからといって直接昇進や評価につながるという訳ではない、というところがうまく働いています。この状態が人を巻き込むには良くて「タマホーム、ひいてはお客様のためにやっている」ということが相手に伝わるのです。

実際、現場の方々からも「自分のためにやってないのがわかる」「出世のためじゃないから手を貸した」と言われたこともありました。私の場合、これがもし「イノベーション推進室」みたいな部署だったら難しかったかもしれませんね。結果が評価につながっちゃいますから。

納富:なるほど。結局重要なのは、お客様や会社のために何かやろうと行動することなのかもしれませんね。勉強になります。飯田さん、本日はありがとうございました。

飯田:ありがとうございました。