モーニングピッチ

INSIGHTS

2015.03.13

 

事業提携や業界のキーパーソンに迫る”Morning Pitch Insights”。記念すべき第1回目は、2014年12月に開催されたMorning Pitch Special Editionにて審査員を務めて頂いたライフネット生命保険株式会社岩瀬大輔社長に、ベンチャー企業の成長促進やベンチャー企業と大企業の事業提携促進の観点からインタビューを行った。後編はベンチャー企業と大企業の事業提携の秘訣に迫る。(前編はこちらから

【プロフィール】

インタビュー ライフネット ①

岩瀬大輔 氏:ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長兼COO

1976年埼玉県生まれ、幼少期を英国で過ごす。1998年、東京大学法学部を卒業後、ボストン・コンサルティング・グループ、リップルウッド・ジャパン(現RHJインターナショナル)を経て、ハーバード大学経営大学院に留学。同校を日本人では4人目となる上位5%の成績で修了(ベイカー・スカラー)。2006年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げる。2013年6月より現職。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2010」選出。株式会社ベネッセホールディングス社外取締役。

 

【ベンチャー企業と大企業の事業提携の秘訣】

②

松本雄大(以下、松本)ライフネット生命を立ち上げて成長させていく過程で、例えばSwiss Re社など自社より規模の大きい会社と業務提携契約を締結されていると思いますが、成功のポイント、および、提携を継続していくポイントを教えて下さい。

岩瀬大輔(以下、岩瀬)ビジネスは人と人との信頼関係や、期待がベースになります。トップと人間的に繋がるスキルであったり、個人的に仲良くなって相手から「応援したい」と思ってもらえる事が重要だと考えます。

以前、ライフネット生命と業務提携契約を締結したSwiss Re社のCEOから、ご丁寧に直筆のクリスマスカードを頂きました。小さいメールも全部丁寧に見てくれている様でして、「頑張れ、応援しているぞ」と言ってくれる関係ができています。とても励みになりました。

ベンチャー企業と大企業の関係でも似たような事で、感謝の気持ちや、自分の熱い思いをどう伝えて、深い信頼関係を築いていけるかが重要になるのではないでしょうか。そうすれば、短期的には上手くいかない事があったとしても長期的に応援してくれる関係になります。

松本大変参考になります。人間的な信頼をベースにして、長期的に協力して行ける関係が重要という事ですね。我々が事業提携の支援をしている中でも、ベンチャー企業経営者の志に大企業の方が共感して事業提携が生まれる事例を良く見る事があります。

 

【大企業もベンチャー企業を育てる意識を持つべき】

松本ベンチャー企業と大企業の事業提携を促進していくために、それぞれが気をつけるべきポイントがあれば教えて下さい。

岩瀬大企業側もベンチャー企業を育てる意識を持って、失敗を恐れず、小さくでもベンチャー企業と組んでみる事が大事な気がします。社内のイノベーションであったり、人材育成にプラスに働く事があるはずですから。

松本確かに実感として、ベンチャー企業との事業提携が上手な大企業は、サービスをすぐ使ってみたり、簡単にできる提携を沢山行っているという印象を持っています。ベンチャー企業の経営者の間でも、その様な大企業の良いイメージが評判となって伝わっている様に思います。ベンチャー企業側で意識すべきポイントは何でしょう。

岩瀬これは意見が分かれる所ですが、ベンチャー企業も相手に合わせる事が必要だと感じています。例えば、ベンチャー企業の経営者も大企業とのミーティングでは、スーツとネクタイを着て行ったらと思います。自分たちのロジックだけでなく、相手に寄り添う事も大切だと僕は考えています。

大企業とベンチャー企業で、発想や行動原理は全く異なっていると感じます。規律良くやるという大企業の行動原理は、ベンチャーにはあまり無いですよね。大企業側の原理、それをベンチャー企業側がどう使っていくかが大事なのではと思います。

 

【打算で付き合うと長く続かないし、結局それは商売にはつながらない】

松本ベンチャー企業が事業提携や出資を受ける機会を得る過程で、偶然の人の出会いや、人づての紹介が重要になる事があると考えています。岩瀬さんが、ネットワーキングの仕方で意識されている点がございましたらお伺いさせて下さい。

岩瀬目先の利益にとらわれないで色々な人に丁寧に接する、助けを求める人をできるだけ助けてあげる、という事をやっていると、巡り巡って自分が助けてもらえたり、いい出会いが生まれたりするなと感じています。この人と付き合うと役に立つかどうかという基準ではなく、僕は自分が好きな人と、正直に付き合っていけたらいいなと思っています。

打算で付き合うと長く続かないし、結局それは商売にはつながらない。好きな人と付き合っていると、意外とそこからビジネスになったり、助けてもらえたりします。また、積極的に会いたい人にも会いに行くようにしています。

松本お知り合いの方に紹介してもらう機会も多いですか?

岩瀬そうですね。親しい経営者の方には、尊敬されている若手経営者は誰ですか?という事を良く聞きますね。

若手経営者の方を紹介してもらって、一緒にご飯を食べに行ったり、ご自宅に遊びに行かせてもらったりする事もあります。これも別に仕事とは関係ないお付き合いです。そういう感じでビジネスとは関係なくても、ネットワークが広がっていけばと思っています。

松本ベンチャー企業の成長や事業提携のポイント、人と人との付き合い方など、本日は貴重なお話を伺えました。ありがとうございました。

 

【インタビュアー】

トーマツ ベンチャーサポート株式会社 公認会計士 松本雄大:1982年生まれ。京都大学教育学部卒。有限責任監査法人トーマツ(東京、高松、デトロイト事務所)、外資系戦略コンサルティングファームを経て、現在はトーマツベンチャーサポート株式会社にてベンチャー企業の成長支援および大企業の新規事業創出支援を行う。京都大学経営管理大学院(MBA)非常勤講師。