Insights

2015年03月6日

事業提携や業界のキーパーソンに迫る”Morning Pitch Insights”。記念すべき第1回目は、2014年12月に開催されたMorning Pitch Special Editionにて審査員を務めて頂いたライフネット生命保険株式会社岩瀬大輔社長に、ベンチャー企業の成長促進やベンチャー企業と大企業の事業提携促進の観点からインタビューを行った。(インタビュアー:トーマツ ベンチャーサポート松本雄大)

インタビュー ライフネット ①

【プロフィール】

岩瀬大輔:ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長兼COO

1976年埼玉県生まれ、幼少期を英国で過ごす。1998年、東京大学法学部を卒業後、ボストン・コンサルティング・グループ、リップルウッド・ジャパン(現RHJインターナショナル)を経て、ハーバード大学経営大学院に留学。同校を日本人では4人目となる上位5%の成績で修了(ベイカー・スカラー)。2006年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げる。2013年6月より現職。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2010」選出。株式会社ベネッセホールディングス社外取締役。

 

【コンサル出身のベンチャー企業経営者の課題とは】
松本雄大(以下、松本):最近、コンサルティングファーム出身でベンチャー企業を立ち上げられる方が増えています。岩瀬さんもボストン・コンサルティング・グループご出身ですが、コンサルティングファーム出身のベンチャー企業経営者が特に気をつけるべき点があればご意見お聞かせ下さい。
インタビュー ライフネット ②

岩瀬大輔(以下、岩瀬):コンサルティングファーム出身者はロジックとかファクトベースで戦略的に考えていく基礎スキルは高いと思います。但し、どの事業もそうですが人があってこそなので、理屈ではない部分で人を集めてみんなで一緒にやろうと引っ張っていく事を学ぶ必要があると感じます。人を動かしてモチベートさせていく事への配慮です。

コンサルティングファームは、多様性を重視していると言いつつも偏った人達が多い組織のように思います。一方でベンチャーは、色々な人達と働かないといけません。大事なことは、全く違うバックグラウンドの人達をどうやって奮い立たせるか学ぶという事ではないですかね。

松本:ベンチャー企業の経営者をしながら、自分のバックグラウンドで不足しているスキルを身に付けていくにはどうすればよいでしょうか。

岩瀬:自分の苦手な事はチームで補えばよいので、その分野で得意な方をチームに入れてはいかがでしょうか。

松本:我々もベンチャー企業の支援をさせて頂く中で、経営者の方のバックグラウンドを特に意識しています。コンサルティングファーム出身の方はビジネスモデル立案などのhowが強い一方で、事業動機のwhyが希薄な事が多い傾向があり、エンジニア出身の方はどんな製品を作りたいかというwhatが強い一方で、顧客目線であるwhoが弱い事が多い傾向があると感じています。岩瀬さんが仰るように、経営者が苦手なポイントはチームで補う事が重要ですね。

 

【骨太なベンチャー企業の数がまだまだ足りない】
松本:昨年末に開催しましたMorning Pitch Special Editionの際は、審査員を務めて頂きまして大変ありがとうございました。

最近のベンチャー企業の良い点や課題点など感じられている事がありましたらお伺いさせて下さい。

岩瀬:最近のベンチャー企業は、裾野が広がって層が厚くなってきた事によって、資金調達金額の大きいベンチャーが沢山でてきたと感じています。良く練られた面白いビジネスモデルの会社が増えてきたからだと思います。

一方で、身近な軽いサービスではなくて、世の中を変えていくような骨太なベンチャー企業の数が日本にはまだまだ足りないと感じています。

松本:Morning Pitchを運営していると、最近のベンチャー企業の経営者は社会課題に取り組もうとする志の高い方が多いと驚かれる大企業の方も多いと感じています。そういった志の高さに惹かれる所からスタートしてベンチャー企業と大企業の事業提携に繋がり、世の中を変えていく様な取り組みに繋がってきた事例も出てきていると感じています。
インタビュー ライフネット ③
【日本のベンチャー企業は、大企業やベテラン経営者をもっと巻き込むべき】
松本:岩瀬さんはハーバード大学経営大学院を卒業後にライフネット生命を起業されましたが、ベンチャー企業を取り巻く環境について海外と日本での違いを感じる事があればお聞かせ下さい。

岩瀬:以前より日本のベンチャー企業の裾野が広がっているとはいえど、アメリカと比べるとまだまだ数が違うという印象です。また、大企業やベテラン経営者を巻き込んで、本当に大きく社会を変えるような規模感のあるベンチャー企業が日本からもっと出てきたらと思います。

松本:アメリカではベンチャー企業の社会的な認知が高いですね。最近は日本でもピッチイベントが多数開催される様になっていますが、そういった機会を通じて少しでもベンチャー企業への注目が高まればと考えています。

岩瀬:大企業を巻き込む意味でもMorning Pitchは良い取り組みだと思います。また、ベンチャー企業の社会的な認知という意味では、成功した人がロールモデルのような立ち振る舞いをする事がすごく大事で、社会的な役割を果たす事で社会的にリスペクトされているような存在になるべきと感じています。ロールモデルのような立ち振る舞いとは、例えば若い人を支援する活動をやろうよとか、NPOに寄付したり応援したりしようよと促す事です。

(インタビュー後編はこちら。ベンチャー企業と大企業の事業提携の秘訣に迫ります。)

 

【インタビュアー】
トーマツ ベンチャーサポート株式会社 公認会計士 松本雄大:1982年生まれ。京都大学教育学部卒。有限責任監査法人トーマツ(東京、高松、デトロイト事務所)、外資系戦略コンサルティングファームを経て、現在はトーマツベンチャーサポート株式会社にてベンチャー企業の成長支援および大企業の新規事業創出支援を行う。京都大学経営管理大学院(MBA)非常勤講師。